がん診療と患者コミュニケーション研究会

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乳がんのお薬の患者説明についてのアンケート報告

調査主体:株式会社ヴィゴラス・メド
調査機関:マイボイスコム株式会社
調査期間:3月下旬

今回、1335名の薬剤師の方にアンケートにご回答いただき、その中より病院勤務経験3年以上の薬剤師283名に、抗がん剤治療における、特に推進されている後発医薬品投薬に関する患者説明についてお答えいただいた結果をまとめましたので報告いたします。

薬について患者説明を行った際、約63%の薬剤師は、患者は説明されたことを理解していると思っている。その説明には、製薬企業提供の資料や自施設で制作した患者説明資料を用いている。

説明された患者さんは、理解され受け入れられていると思いますか?
患者さんへの説明の際、何か使用されていますか。当てはまるものをお答えください。(複数選択可)

ジェネリック薬品を投薬する際、積極的に説明しているのは約3割程度で、説明していないという回答が1割。患者にジェネリック薬品について説明する際、ジェネリックと先発品の違いについて説明している薬剤師は2割弱であり、これらの違いの説明が十分ではない。

ジェネリック薬品を投与する際、患者さんに説明していますか。

「積極的に説明している」「聞かれれば説明している」「患者さんによって判断している」とお答えの方へ質問です。

患者さんへの説明の際、優先している説明を順にお答えください。

変薬時の患者説明について8%の薬剤師が説明をしていない。

変薬時の患者説明は行いましたか。
説明された内容に当てはまるものをお答えください。(複数選択可)

がん治療での変薬時に患者に説明すべきと答えたのは5割以上であった。理由としては、説明義務が最も多く、次いで患者の不安、成分の違い、患者負担の順で多かった。

がん治療でジェネリック薬品または先発品に変更する際、患者さんに説明すべきだと思いますか。あなたの考えに近いものをお選びください。

説明すべき、説明したほうが望ましいの理由の一部抜粋(回答数53)

説明義務(回答数24)
  • 医療従事者としての説明義務、患者さんの知る権利ともにあると思うため
  • 患者さんへは効能効果や患者負担等について積極的に説明して理解を得る姿勢を見せる必要があると感じている
  • 患者様、ご家族の方にはその都度説明する義務があると考えるのでそうしております
  • 患者様に知る権利が有り薬剤師には説明責任がある
  • 製品名がかわるので説明は必要。薬によっては注意点も変わるので
  • 患者に情報提供し、了承を得た上で変更すべきだから
  • 使っている薬剤の製造元がかわったのであれば説明すべき。自分であれば聞いておきたい
  • ジェネリック薬は患者のために、価格の安価さと剤形の工夫で服用しやすくしているため、同じものだと説明しないと、不安を述べることがあるので
  • 院内の採用薬に携わっていないので、先発・後発の選択に口をはさめないが、どんな薬品を使用するのかを知る権利は患者にあると思うから
  • 変薬がある際には、がん治療薬でもどんな薬でも説明は必要だと思うから
患者さんの不安(回答数18)
  • 患者さんの不安を少なくするために説明すべきだと思います。ただし、主治医には、患者さんに説明する旨連絡します
  • 患者の治療に関する不安を払拭し、納得して治療を受けてもらうため
  • 治療が長期間になることが多い。そのため、治療費が高額になり治療継続が難しくなることもある。その場合はジェネリックへの変更も紹介すべき。また、先発からジェネリックへの変更で、不信感などにつながり治療継続できなくなることも問題になるため
  • 変薬の理由は様々だと思うので説明した方が前向きに治療をすることができると考えるため
  • 後発医薬品に対する負のイメージをお持ちの患者さんがいるから
  • 薬剤が変更になっていると患者さんが気づいたときに不安になるかもしれないから
成分(回答数6)
  • 100%同じものではないので患者さん、ご家族が知った上で使用するべきだと思います
  • まったく同じものではないから
  • 効果や副作用に違いがあるかもしれないから
  • 成分が同じだとはいえ、変薬によって副作用が出る可能性は否定できないので
  • 成分は同じとはいえ、効果や副作用が異なることがあるから
  • 場合によっては、効果がまったく同じではないから、後程問題にならないよう説明すべき
患者負担(回答数5)
  • 患者負担など、変更となるものがあるため
  • 金額的に拒否する方も多いので先発よりも安価であること、実際の金額差は説明した方が良い
  • 使用する薬剤が変わるし、負担額が変わる可能性もあるので当然だと思う

文責:がん診療と患者コミュニケーション研究会

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